田んぼの虫
- 2019/11/15
- みそについて
この黒くなった味噌を前にして考える。
天然醸造の味噌の、発酵が進んだこの色やてりは、速醸の味噌ではどんなことをしても出せない。弊社の二年みそのお客様は「この味噌を食べると、マルカワさんの他の味噌が食べれない」とおっしゃる。私は嫁いでから、ほんこの間までそのお客様の言葉が信じられなかった。 二年みそのお客様、ごめんなさい。
ところがである。ひょんなことから私もその黒い味噌の味噌汁を飲んでみた。 というか、弊社で試験的にいろいろな味噌を作っていて、それを出し忘れて何年か前の掘り出し物の味噌が見つかったのだ。 そのまさしくコーヒー色の味噌汁が、それがまた塩のかどがとれておいしいのだ。 そういえば、八丁味噌も同じ色だ。
同じ味噌汁を飲んでも、人の好みはそれぞれだ。蓼食う虫も好き好き。私はこの「蓼」を「田で」だと61年思っていた。田んぼの虫も好みがある。かと思ったが、蓼という苦くておいしくない葉っぱをおいしいと食べる虫もいるの意味。ひとりで、あきれて笑ってしまった。
(続く)